そば打ち体験

包丁でそばを切る光島
包丁でそばを切る光島
 長野行きのもうひとつの目的は、今作っている作品の中に「戸隠」の様子を反映させることでした。信濃美術館のスタッフが下見をして、戸隠で様々な体験ができるプランを提案してくださいました。
 
 中でも「そば打ち体験」がぼくの興味を引きました。もちろん密にならないことも含めて計画してもらったので、安心して楽しむことができました。

 そばを食べるのは好きだけれども、打つのは初めて。4人で1つのそばを打つことになりました。メンバーはいずれもぼくが見えないことに理解ある人たちなので、そんなに心配はしていませんでしたが、はたしてぼくにできるだろうか。しかし、そばをこねるのはたぶん粘土と同じようなものだろうから、これはできるんじゃないかという期待がありました。
 
 7割蕎麦ということで、まずはそば粉と小麦粉を混ぜます。これはぼくでも問題ありません。水を適量入れてさらに混ぜます。そして、ひとまとまりにしながらこねていきます。4人で順にこねていくと、徐々に粘りのあるとても心地よい硬さになってくるのです。この時点での感想は、「これを4人で食べるって、1人分が少なすぎないか?」。

 ここから少しインストラクターに手伝ってもらって、平べったい直径30cmほどの円形が出来上がります。中心には少し盛りあがりがあり、それを少しずつ周囲に伸ばしながら、直径を大きく広げていきます。

 この時に使うのが手打ち棒。巻いたり伸ばしたりしながら、かなり薄いそばができていきます。ここでリズミカルにやると「そば打ち」ということになるのでしょうが、恐る恐るやっていたので「そば伸ばし」という感じになっていたかもしれません。

 ここでまたインストラクターに手伝ってもらい、薄いそばを何層にも重ねた状態にしてもらいます。最後に重ねたそばを、専用の特別な包丁を使って切っていきます。これはぼくにはできないだろうと思っていましたが、切るときのガイドとなる板が準備されているので、思ったより簡単に切れました。見えない人が包丁を使うということがインストラクターには驚きだったようですが、まあ、これはすかすかと心地よい切れ味でした。あまり普段やりませんが、りんごやジャガイモの皮むきも嫌いではないので、包丁に対する恐怖感は特にありませんでした。

 みんなで少しずつ切って、ゆでてもらってできあがり。たぶん4等分してもらったはずですが、思っていたよりもボリュームがありました。細いのもあればきしめんのようなのもあり、それがまた変化があって、とてもおいしかったのです。

 そば湯も飲んで、お腹はちょうどいい具合に満腹。食後は戸隠神社の奥社へ向かう参道と、そこから離れた山道らしいところを制覇しました。