黒い唇

会場内に展示された『缶コーヒーを飲む』(1996)
会場内に展示された『缶コーヒーを飲む』(1996)

 明日から「光島貴之展 ─ side A」も後半に入ります。そして、編集していた作品解説の動画を1つアップすることができました。いつの間にかぼくの代表作になってしまった『缶コーヒーを飲む』という作品をとりあげています。


 詳しくは「ムービー」でご覧いただくとして、この作品は、絵をラインテープで描き始めて1年目の1996年に制作したものです。そして、保存のために額の表面がアクリル板で覆われていることを、ぼくはすっかり忘れてしまっていたのでした。つまり、絵をさわれない!
 
 絵をさわれなくて困るということは、自分でさえすでに忘れてしまっているラインがあるということです。要するに、自分の作品から距離を置いて、もはや他人の絵であるかのように鑑賞できるようにもなってきたと言えそうです。

 撮影しながらスタッフに絵の細部をひとつずつ確認していくと、ビックリするようなことがありました。それは、缶のプルトップのところに描いていた唇の色が、なんと黒色だったということです。

 当時は黒のラインテープで描くことから始めて、さらに赤も使うようになっていた時期です。唇なら絶対に赤でしょ!! なぜ黒を使ったのかが謎です。すでに缶本体の縁取りに赤を使っていたから? それとも赤の太いラインテープを切らしていたから? それともそれとも、赤ではありきたりだからわざと黒にした? ううん。けっこういきがっていた頃なので、わざと黒にしたというのが正解かもしれないなぁ。

 まったく思い出せません。

 このような解説動画を順次作る予定ですが、感想などお聞かせいただけると次回の収録に反映できると思います。Facebookやメールなどから、ぜひ忌憚のないご意見をお聞かせください。