スケッチブックはぼくのアルバム

たくさんのスケッチブックと、そこに描かれた未発表作品
たくさんのスケッチブックと、そこに描かれた未発表作品

 少し前から「アートと障害のアーカイブ・京都で過去の作品を公開してもらっています。そのアーカイブを作るにあたって、タイトルや制作年を確認する作業を進めているのですが、なかなか思い出せないものがあります。困った時の切札は「無題・制作年不明」と書いてしまうことなのですが、あまりにそれが続くとうんざりしてきます。

 先日、撮影を終えた未発表のスケッチブックが手元に戻って来ました。描き始めた1995年と1996年のスケッチブックには、タイトルと日付が点字で記録してありました。こういうことをちゃんとやっておくべきでしたね。途中からはついおろそかになって描きっぱなしにしていたようで、反省しています。

 
 でもスケッチブックをさわっていると当時の絵の傾向がわかり、この時はこういうかたちを書きたかったのだなとか、同じようなイメージをくり返し描いているなと思うことがあって、過去の自分を思いおこしてしまいます。ラインテープとカッティングシートで描いているので、さわればかたちは分かるのですが、色遣いはまったく忘れてしまっています。

 現在はスタッフに手伝ってもらい、色など説明してもらいながら確認作業を続けています。描きたいものがはっきりと表現できているものもあれば、いったい何をしようとしていたのかまったく想像にもおよばないものもあります。それでも優しいスタッフは「花のように見えるよ」とか、「太い線と細い線が対照的に使われています」などといいことを言ってくれるので、この作業、なかなか楽しく進んでいます。

 1995年から1996年のスケッチブックの最後の2ページに『三つ編みの女』と『瀬音が叫ぶ』という絵を見つけました。顔を描きはじめた頃だったようです。三つ編みの人は美人に描かれているとのこと。瀬音というのは当時7歳ぐらいの息子です。

 これらの絵をさわっていると無性になつかしくなりました。ぼくには写真が見えないので、ぼくにとってのアルバムというものは存在しないと思っていたのですが、アルバムを見てなつかしむというのはこういうことなのだと実感しています。そして、久しぶりに顔をかきたい!顔をさわりたい!という気持ちが高まっています。